ある日お祭りで金魚すくいを見つけた。
母はダメだと言ったけど、父が「ええんちゃうか、金魚を飼う事で命の大切さも学べるやろう」とやらせてくれた。
はじめての金魚すくいは難しくてすぐにポイ(すくい網)は破れてしまった。見かねた屋台のおじさんはそっと私にポイを差し出し「こうやってすくうんやで」と、1匹すくって見せてくれた。その後、見よう見まねでやってみるもやはりポイは破れてしまった。「まだまだへたくそやな~、オマケしといたるわ!」と金魚が5匹入った袋をくれた。
帰ってすぐに家にあった虫かごに水を入れ金魚を放つ。元気に泳いでいたけど、今思えばどこか寂しげで不自由さを感じていたのかもしれない。
その日から毎日、起きたらすぐに金魚を見に行き、エサをあげた。7日程経った頃、いつものように金魚を見に行くと1匹横になって浮いていた。「お母さん!!」と母を呼びつけると「もう、だから言ったのに…。この子は病気やったんかもしれんなぁ。死んじゃったんやで。」と。ピクリとも動かない金魚を見て急に怖くなってしまった私は「もう金魚いやや…。こわい…。」と涙を浮かべた。見かねた父は「ほかの金魚も仲間と離れ離れで寂しいんかもしれへんなぁ。」と近くのお堀に逃がしに行くことにした。
「ここなら金魚が食べるエサもあるし仲間もおるから寂しくないんちゃうか。」と父が言い、私も少し肩の荷がおりたような気がした。
目的地に到着し、虫かごに入った金魚を見ながら「ばいばい!!」と別れの挨拶をし、ゆっくりと金魚達を放った。
その瞬間、
バシャバシャ!!!!!!!!
バクッ!!!!
バシャ!!! バシャ!!
バシャバシャッ バシャ!!!!
バシャバシャバシャ!!
バシャ!!!!!!!!!!!
バクッ
バシャ!!!!!! バシャッ!!!!!!
りつこ『うわあああああぁぁぁあ!!!!!号泣』
父『ぎゃあああああああ!!!!!???』
命の大切さを学んだりつこなのであった。(※実話です)